アナタの成功談の聞き役は商売敵

数社競合となった大企業への企画プレゼン。チームリーダーのアナタは半年間、このプロジェクトに心血を注いできました。そして、いよいよ今日がプレゼンの開催日です。
役員が集まった大会議室にてアナタは企画内容を発表していきます。初めのうちは渋く見えていた役員の顔、しかし中盤になり具体的なプランを話していく頃には朗らかに……。中には「おぉ!」と声をあげる人も! 「攻めすぎた企画だったかもなぁ」と不安な面もありましたが、どうやら高い評価を得ることができたようです。結果的にプレゼンは成功、大企業との取引も勝ち取りました。

無事に大企業との契約締結ができた夜、アナタは繁華街のバーに足を運びました。数ヶ月ぶりの来店に「久々だねぇ」とマスター。仕事からの解放感に包まれ「この感じ!久々!」とアナタのテンションも上がります。

カウンターに座り「ジントニック」。

グラスを傾けつつ、アナタはマスターに大きな仕事が決まったことを報告します。グラスが空になった頃合い、隣に座っていた同年代のサラリーマンが「コチラの方に僕からジントニック!」と一声。「お祝いに」と声をかけられたアナタは「ども」とジントニックをゴクり、喉を潤します。

そして、アナタの独演会の幕が上がりました。大きな仕事を達成した嬉しさ、夜の開放感、お酒による高揚感。全てが相まって、アナタの口調はプレゼンの時以上に滑らかです。先日のプレゼン内容を初対面のサラリーマンに解説。見積、予想利益といった社外秘の情報から相手企業の反応まで全てを語り尽くしました。「あ〜自慢話って楽しい!」と。

言わずもがなですが、コンプライアンス違反です。全てを打ち明けた相手がアナタの商売敵だった場合、どうしますか? 情報を悪用されるかも、企業秘密が漏洩するかも、会社の信用が地に落ちるかも、そしてアナタのクビが飛ぶかも……。
成功体験を語りたい気持ちはわかります。ただ話して良いこととダメなことの区別が付かないようでは社会人失格です。気分が高まるお酒の席では、なおさら注意が必要ですよ。

教 訓

成功談も、悪用されれば転落への幕開け。自分で自分を褒め、自分に乾杯する程度にしておこう。