俳優Aの不遜な態度をツイートしたアナタは悪者

繁華街のカフェでアルバイトをしているアナタ。実はこのカフェ、有名人が度々訪れる店なんです。当初、アナタも有名人の来店に興奮していました。しかし、数ヶ月も勤めていると流石に慣れてきます。半年も経った頃には「有名人って面倒だぁ……」と考えるようになりました。第一に窓際の席に座らせてはいけない。第二に他のお客様に存在を気づかれないように席まで案内しなければならない。このように有名人が来たときのマニュアルが色々と面倒なんです。

ある日、輝くオーラのようなものを放つカップルが入店してきました。よくよく見ると、人気俳優AとバラエティアイドルBじゃないですか。「この2人付き合ってるんだ……」と思いつつ、アナタは2人を店内で最も目立たない席に案内しました。少し影になっているテーブルを見たAは「なんか暗くない?なんか暗くない?」とボソボソ。Bは「まぁまぁ」とAをなだめます。そして、何度か不毛なやりとりをした後、2人はやっと着席しました。
注文を取りにいけば、メニューを渡す前に「ブレンド!」と言い放つA。対してBは「すいません」と言いながら、メニューを見てアイスティーを注文しました。「対象的なカップルだなぁ」と思って2人を見ると、Aは「チッ見んなよ」と舌打ち。アナタは「うわ!プライベートのAってなかなか感じ悪いぞ」「普段は好青年を上手に演じてるんだなぁ」と変に感心してしまいました。そして、Aの態度にハラハラしながら、申し訳なさそうに頭を下げるBを見て「バラエティでは空気読めないキャラだけど、本当は健気でいい子なんだなぁ」「なんだかかわいそう」とモヤモヤ。

バイトが終わり、帰宅したアナタ。しかし、モヤモヤは薄れることなく、濃くなる一方です。「スッキリしたい」といった気持ちが作用したのでしょう、アナタは深く考えもせずカフェで見たAとBについてツイートをしました。

「今日、バイトしてたらAとBが来た。たぶん付き合っているっぽい。そして、Aの態度がクソ悪くてビビったwけど、Bちゃんはテレビのキャラと違って良い子だった。すごくカワイイし!」

翌日、目を覚ますと友達から大量のLINEが……。そのメッセージの大半が「ツイート、早く消しな」といった内容でした。人気者2人の交際は世間に知られていません。アナタが何気なくしたツイートは意図せずスクープになってしまいました。すごいスピードで拡散されていきます。大きすぎる反響ゆえ、何が起きているのか把握できないアナタは茫然自失。しかし、泣いたところで何も解決はしません。友達のメッセージを思い出したアナタは、AとBの交際に関するツイートを削除しました。しかし時すでに遅し、ネットニュースで取り上げられ、Yahoo!ニュースのトップにも掲載されています。大元を消したところで後の祭でした。

当然、アナタにも火の粉は飛んできます。アナタとカフェへの誹謗中傷も書き込まれます。Bのファンからは比較的良いコメントもありますが、Aのファンに至っては罵詈雑言しかありません。どちらのファンでもない野次馬はアナタの勤務態度について言及し、盛り上がっています。

Aの態度がどうあれ、他人のプライバシーをツイッターに投稿したアナタはコンプライアンス違反です。アナタは、有名人AとBのプライバシーを侵害しただけでなく、アルバイト先のカフェにも大きな損害を与えたのです。もし、仕事先で有名人に出会ったとしても、絶対にSNSには書き込まないでください!

教 訓

軽い気持ちの投稿が、大参事となる危険あり。取り返しがつかなくなる前に、投稿モラルを学ぶべし!