大手化学企業 認証登録の不適切な行為で、一部登録取り消し

2022年3月、大手化学企業は、米国の第三者安全科学機関であるUL LLC(以下UL)から認証登録を得ていた樹脂製品の一部が、31日付で取り消しとなる旨を発表した。取り消しは、「燃えにくさ」の安全基準を満たしていないものや、認証登録手続き申請上の不備があったものの計52品種。同社は、ULの安全認証試験において、指定と異なる試験用のサンプルを作成して提出するなどして、不正に登録を受けていたことが判明した旨を同年1月に公表している。現在、同社は調査委員会を設置し、不適切行為の詳しい原因の究明を進めているという。

【このニュースに一言】

第三者機関からの認証登録は、製品によっては販売するうえで必須条件となっていることもあるでしょう。また、客観的に品質の良さをお客様にアピールできるといった側面もあるかもしれません。しかし、不正に登録を受けていたとなれば、認証登録を信じて製品を購入する人への背信であり、お客様にアピールどころか、信用を失うことになるでしょう。
同社は有識者委員会で調査を行い、原因究明を進めています。今回の不正登録は、52品種におよび、少なくとも10年間という長期にわたっていました。また過去(2017年)に子会社で、品質検査のデータを書き換える不正が発生していることも考えると、同社グループの企業風土、慣習などに何か問題があるのかもしれません。ぜひ、個別事案としてだけでなく、企業風土、慣習などにまでメスを入れた原因究明を行って欲しいと思います。
歴史がある企業ほど、良い風土、慣習だけでなく、悪しき風土も慣習も育っていることがあります。
今回の件を奇貨として、悪しき風土や慣習の調査が進み、もしもあれば、その解消に繋がることを期待しています。