フリーランスとの取引に関するアンケート
実施期間:2025/4/1~4/30
有効回答数:100件
昨年施行された「フリーランス新法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)」ですが、
本年3月には、公正取引委員会の集中調査の結果、 取引条件を明示しなかったなどとしてゲーム会社など45の事業者に行政指導が行われました。
事業者側の対応の遅れなどが浮き彫りになった状況です。
本アンケートは、フリーランス取引の現状を把握しリスクの有無や改善点を洗い出すことを目的としています。
フリーランス取引において社内ルール・制度の整備状況についてお伺いします。貴社で整備されているものを選んでください。(複数選択可)
フリーランス取引に関する社内ルール・制度の整備状況についての調査では、「特に整備されていない」が41.0%と最も多く、制度未整備の実態が浮き彫りとなった。一方で、「社内規程・ガイドラインの整備」(36.0%)、「契約書の標準フォーマットやチェック体制の整備」(34.0%)を挙げた企業もあり、対応の進捗には差が見られる。
自由記載では、「そもそもフリーランスを利用していない」「発注が少なく整備の必要性を感じていない」といった実態が示される一方で、「契約が拠点任せで、ひな形やチェック体制の整備が必要と感じている」「法務部門が関与しておらず、誰が対応すべきか不明」といった課題も見られた。また、「スポット的に外注しているが、その対応が適切か不安」との声もあり、整備されていないことへの懸念も存在している。今後は、取引の有無にかかわらず、最低限のルールや責任部署の明確化など、社内の体制整備が求められる状況といえる。
フリーランスとの取引に関して、社内での周知・教育の実施状況についてお伺いします。貴社で実施しているものを選んでください。(複数選択可)
フリーランス取引に関する周知・教育の実施状況についての調査では、「社内研修や啓発資料の配布」が47.0%と最も多く、一定の啓発が進んでいる企業も見られる一方、「実施していない」が31.0%に上り、周知体制の不十分さが明らかになった。「定期的な注意喚起(メール・掲示など)」は26.0%、「発注担当者向けのマニュアル整備」は15.0%と比較的低く、実務に落とし込んだ教育が課題となっている。
自由記載では、「そもそもフリーランスを利用していない」「発注自体がほとんどない」という理由から周知を行っていないとする声が多く見られた。また、「契約の際は法務チェックを受けるよう助言している」「対応が必要と感じているが未実施」「各部門ごとの属人的対応にとどまっている」といった現場任せの実態や課題も指摘された。全社的な制度設計と平準化された周知が、今後の対応の鍵となるだろう。
フリーランスとの取引において、今後、社内で強化・整備が必要だと思う取り組みを選んでください。(複数選択可)
今後の課題として、最も多く選ばれたのは「関連法令(下請法、労基法等)との整理と理解促進」で56.0%にのぼり、制度対応への理解が重視されていることがわかる。次いで「実務担当者への教育・啓発の継続実施」(50.0%)、「ルールやチェック体制の明確化」(47.0%)、「規程や契約関連書類の整備・見直し」(36.0%)と続き、実務面の対応強化が求められている。
自由記載では、「法改正への社内対応が後手に回りがち」「ルール未整備による誤対応や違反がすでに発生している可能性がある」との指摘があり、教育と周知の徹底、遵守状況の点検が急務との意見が目立った。また、「社内コンプライアンス情報の適時更新」「心理的安全性を確保した権限移譲」といった、仕組みと風土の両面からの改革が必要とする声もあがっている。法令理解と現場実務のギャップを埋める体制づくりが今後の焦点といえる。