下請事業者66名に対して不当な代金減額 京都の菓子会社

2023年12月、公正取引委員会は、下請事業者66名に対する下請法違反があったとして、京都市の菓子製造販売会社「伊藤軒」に対し、再発防止を求める勧告を出した。同社は、製造を委託する下請け業者に対し、支払額から協賛金や特別値引きなどの名目で、不当な減額を繰り返した。さらに、商品を受領した後の検品をしていないのに、商品に瑕疵があるとして商品を引き取らせていた。これらの行為により、2022年6月から2023年5月頃までで、下請事業者に計約900万円の不利益が生じた。公取委はこれらの行為が下請法違反であると指摘。同社はすでに不当に減額した代金を支払っており、法令遵守に努めるとコメントしている。

【このニュースに一言】

下請法では、下請事業者に責任がないのに、下請代金を減額したり、返品したりする行為を禁止しています。下請事業者は、親事業者から不当な要求があっても、断れば仕事を失うかもしれないという懸念から、嫌でも受け入れてしまいがちです。そのため、下請法では、親事業者の禁止行為を定めて、下請事業者の同意があったとしても、問題にしています。
また、親事業者の下請事業者への不当な行為は、下請法違反で処分されるだけではありません。「弱いものいじめをする会社だ」と世間から厳しい目を向けられます。その結果、企業イメージが悪化し、お客様が離れていったり、人材採用などにも悪影響を及ぼしたりすることになります。
利潤を追求することは、企業として当然のことです。しかし、企業は社会の一員として相応しい振舞を求められています。公正な取引は、その振舞の最も基本的なことだと思います。
「伊藤軒」は、創業から約160年も続く老舗です。その事業は、数多くの下請事業者の協力があって続けてこられたのではないでしょうか。このことを「伊藤軒」は、しっかりと理解しなければなりません。