職場で「ちゃん」付け呼称はセクハラ 東京地裁が22万円の賠償命令
2025年10月、東京地裁は佐川急便の営業所で女性を「○○ちゃん」と呼び、「かわいい」「体形良いよね」などと発言した年上の同僚男性の行為をセクハラと認定し、22万円の賠償を命じた。判決は「『ちゃん』付けは業務上不要で不適切」と指摘し、発言全体を違法なハラスメントと判断。女性はうつ病で退職し、会社とは2025年2月に解決金70万円で和解した。専門家は、呼称だけでなく発言の文脈全体が考慮されたと説明している。
【このニュースに一言】
「ちゃん」付けの呼び方に世間の注目が集まっているように感じますが、その点だけが問題とされたわけではありません。正しく理解すべきなのは、容姿への言及や継続的な発言を含めた一連の行為がセクシュアルハラスメント(セクハラ)と認定されたという点です。報道の一部だけを見て「呼び方が禁止された」と誤解せず、職場での不適切なコミュニケーションが複合的に評価された結果であることを理解する必要があります。 裁判所は、「業務上の必要がない呼称は不適切」であり、「親しみを理由に正当化することはできない」と明確に指摘しました。旧来の「親しみ文化」は信頼を深めるものではなく、相手への敬意を示す言葉遣いこそが現代の職場の礼儀です。特に管理職は、自身の発言が部下の模範となることを自覚し、率先して適切な呼称を使う責任があります。 「親しさ」と「礼節」は両立します。相手の気持ちを想像し、業務上ふさわしい言葉を選ぶことが、信頼と安心を育てる第一歩です。