夏に気をつけたいコンプラリスク、何がきっかけ? “夏ならでは”の職場リスクアンケート

夏に気をつけたいコンプラリスク、何がきっかけ?
“夏ならでは”の職場リスクアンケート

調査対象: コンプライアンス啓発責任者、担当者
有効回答数:136件
調査期間: 2026/7/2~7/31
調査手法: Webアンケート
調査機関: 弊社調査

夏季休暇前後の業務集中、暑さによる注意力低下やストレス、暑気払いなどのイベント、エアコン温度をめぐる不満、クールビズや汗・においへの指摘――。

夏場には、季節ならではの要因が、確認漏れ、連絡漏れ、ハラスメント、体調不良、職場の不満などにつながることがあります。
今回は、コンプライアンス担当者の皆さんに、職場で「夏に起きそう」「少し気になる」と感じるリスクについてお聞きします。

あなたの職場では、夏ならではの要因から、次のようなコンプライアンスリスクが起きる可能性はありますか?あてはまるものを1つずつお選びください。

「ありそう」+「少しありそう」を集計

夏ならではの職場リスクとして最も多く挙げられたのは、「暑い・寒いをめぐる不満、エアハラ、体調不良など」で、「ありそう」「少しありそう」を合わせて72.1%となった。次いで、「汗、におい、クールビズ・服装への指摘など」が67.6%と高く、夏場の職場リスクは、まず空調・体調・身だしなみといった身体感覚に近いテーマに集中していることが分かる。

また、「連絡モレ、引継不足、承認遅れなど」も55.9%と半数を超えており、夏季休暇前後の業務集中や担当者不在による実務上のリスクも大きい。さらに、暑さによるストレスや疲労を背景に、不機嫌な言動、きつい言い方、雑な判断、確認不足などが起こり得ると見ている回答も一定数あった。

一方で、夏季の短期アルバイト・インターン受け入れなどに伴う職場ルールやコミュニケーション不足は16.2%にとどまり、全職場に共通するリスクというより、業種や受け入れ状況によって差が出るテーマと考えられる。

全体として、夏のリスクは「大きな不祥事」よりも、暑さ、休暇、服装、におい、空調、飲酒、天候といった身近な要因から、職場の不満、ハラスメント、ミス、連絡漏れへ発展する可能性がある点に特徴がある。

個別設問の結果

連絡モレ、引継不足、承認遅れなど(要因:夏季休暇前後の業務集中)

雑な判断、確認不足、ミスの増加など(要因:暑さによる注意力低下)

不機嫌な言動、きつい言い方など(要因:暑さによるストレス、イライラ)

ハラスメントにつながる言動など(要因:暑気払いなどのイベント)

暑い・寒いをめぐる不満、エアハラ、体調不良など(要因:エアコン温度の感じ方の違い)

汗、におい、クールビズ・服装への指摘など(要因:夏のみだしなみ関連)

職場ルールやコミュニケーションの不足など(要因:夏季の短期アルバイト・インターン受け入れなど)

上記以外に、夏ならではの要因でコンプライアンスリスクにつながりそうなものがあれば教えてください。(自由記載)

自由記載では、夏ならではのリスクとして、次のような事例が目立った。

1. 熱中症・体調不良に関するリスク
屋外勤務、工場、厨房、高温多湿の現場などで、熱中症や体調不良を心配する声が多く見られた。特に、暑さを我慢してしまう、体調不良のまま現場に出る、現場を稼働させ続けるといった状況は、安全配慮義務や労働安全衛生上の問題につながり得る。

2. エアコン・温度差をめぐる不満冷房の効きすぎ、席による温度差、暑い・寒いの感じ方の違いなど、空調をめぐる不満も多い。温度設定そのものだけでなく、「誰が我慢するのか」「言い出しにくい」という点が職場の不満や体調不良につながる可能性がある。

3. 汗・におい・服装に関するリスク体臭、汗のにおい、クールビズ、薄着、露出、下着の透け、ラフすぎる服装などへの言及が多く見られた。本人に指摘しにくい一方で、周囲が我慢したり陰口になったりすることで、職場環境の悪化につながるおそれがある。

4. 夏季休暇前後の引継ぎ・連絡漏れ夏季休暇中の担当者不在、取引先との休暇時期のずれ、承認遅れ、引継ぎ漏れ、重要業務の伝え忘れなど、業務運営上のリスクも多く挙げられた。特に、休暇前の駆け込み対応や、休み明けの業務集中によるミス・残業増加への懸念が見られた。

5. 休暇取得をめぐる不公平感・嫌味長期休暇を取る人への嫌味、家庭都合で休む人への不満、子どもの夏休みに伴う勤務調整、単身者や若手への負担の偏りなども挙げられた。制度上は問題なくても、職場内の受け止め方によっては軋轢が生じやすいテーマである。

6. 台風・大雨など自然災害時の判断台風・大雨による出勤判断、交通機関の乱れ、在宅勤務への切り替え、納入遅延、会社敷地内の資材飛散など、天候に関するリスクも多い。特に、出社の任意・強制の線引きや判断基準が曖昧な場合、安全配慮義務の問題につながり得る。

7. 飲酒・イベント・開放感に伴うリスク暑気払い、ビアガーデン、夏のレジャー、帰省時の飲酒などに関連して、飲酒運転、自転車の飲酒運転、宴席でのハラスメント、ビアハラ、騒音トラブルなどを懸念する声もあった。

8. 情報漏えい・SNS・インサイダー関連夏季休暇中のSNS投稿、グループLINEでの愚痴や社内情報の漏えい、帰省先や友人との会話で会社情報を話してしまうことによるインサイダーリスクなど、気の緩みから生じる情報管理上のリスクも挙げられた。

まとめ

自由記載からは、夏ならではのリスクが非常に多面的であることが分かる。
単に「暑いからミスが増える」という話にとどまらず、空調、におい、服装、休暇、家庭事情、天候、飲酒、SNSなど、夏特有の生活環境や行動変化が職場リスクにつながっている。
特に重要なのは、これらの多くが日常的で小さな違和感から始まる点である。温度設定への不満、休暇取得への嫌味、においへの陰口、台風時の出社判断の曖昧さなどは、放置すると職場の不信感やハラスメント、安全配慮上の問題に発展し得る。
夏のコンプライアンス対策では、重大リスクだけでなく、こうした「小さな不満の芽」を早めに把握し、ルールや声かけで調整していくことが求められる。

この夏、コンプライアンス上「これは気をつけた方がよい」と感じることや、職場でできそうな工夫があれば教えてください。(自由記載)

「この夏、コンプライアンス上気をつけた方がよいこと」「職場でできそうな工夫」という観点で整理すると、次のようなポイントが見える。

1. 休暇前後の業務整理と引継ぎ
休暇前に「休み前に終わらせる仕事」と「休み明けでよい仕事」を整理すること、担当者間で引継ぎを明確にすること、取引先との休業日差を事前に確認することが重要である。夏季休暇は、担当者不在が連続しやすく、連絡漏れや対応遅れが起こりやすいため、事前整理が実務上の対策となる。

2. 熱中症・体調不良を言い出せる職場づくり
熱中症対策では、設備やルールだけでなく、「少し体調がおかしい」と言える雰囲気が大切である。回答にも、我慢してしまう人がいるため、自分の違和感を周囲に伝えられる職場を目指しているという声があった。暑さ対策は、安全衛生だけでなく、相談しやすい職場風土とも関係している。

3. 空調・服装・においへの配慮
エアコンの温度、服装、汗やにおいについては、個人差が大きく、直接指摘しにくいテーマである。したがって、個人攻撃にならないよう、職場全体の身だしなみルールや空調配慮として周知することが望ましい。特定の人を責めるのではなく、「夏場の職場環境を整える」という形で共有することが現実的である。

4. 台風・大雨時の判断基準の明確化
自然災害時の出社・退社・在宅勤務の判断基準が曖昧だと、社員が無理をしたり、上司の判断にばらつきが出たりする。台風や大雨が予想される場合には、誰が、いつ、どのように判断するのかをあらかじめ決めておく必要がある。

5. 飲酒・イベント時の注意喚起
暑気払いやビアガーデンなど、夏のイベントでは、飲酒の強要、飲酒運転、宴席での不適切発言に注意が必要である。「飲むのが当たり前」という雰囲気自体がハラスメントにつながる可能性があるため、参加・飲酒の自由を尊重する姿勢が求められる。

6. 夏季休暇中の情報管理
休暇中は、SNS投稿、帰省先での会話、グループLINEでのやり取りなどから、社内情報や業務情報が外に出るリスクがある。休暇前に、写真投稿、業務情報の会話、社内資料の扱いなどについて、簡単な注意喚起を行うことが有効である。

まとめ

夏のコンプライアンス対策は、特別な大施策を打つというより、休暇・暑さ・空調・服装・飲酒・天候といった季節要因について、事前に一言伝えておくことが重要である。

特に、夏季休暇前後の業務整理、体調不良を言いやすい雰囲気づくり、台風時の判断基準、飲酒イベント時の注意、SNS・情報管理の再確認は、すぐに取り組みやすい。夏場は職場全体の余裕がなくなりやすいため、「暑い時期だからこそ、無理をしない・押しつけない・確認を怠らない」という基本姿勢を共有することが、実効性のある対策になる。

全体まとめ

夏の職場リスクは、決して特別な場所で起きるものではない。
暑さ、休暇、服装、におい、空調、飲み会、台風、SNS――いずれも、働く人にとって身近な日常の中にある。

だからこそ厄介なのは、それらが「よくあること」「この時期は仕方ないこと」として見過ごされやすい点である。暑さによる疲労が言葉をきつくし、休暇前後の忙しさが確認を雑にし、空調やにおいへの不満が人間関係の小さな棘になる。夏ならではの開放感や気の緩みも、飲酒、SNS投稿、情報管理のリスクを高める要因になり得る。

今回の結果から見えてくるのは、夏のコンプライアンス対策とは、単に「熱中症に注意しましょう」「休暇前に引き継ぎましょう」と呼びかけるだけでは足りないということである。必要なのは、暑さや休暇で職場のリズムが崩れやすい時期だからこそ、いつも以上に相手の状態を見て、無理をさせず、言い出しやすくし、確認を省かない姿勢である。

夏は、職場の弱い部分が表に出やすい季節でもある。
普段から曖昧だったルール、言いにくかった不満、属人的だった業務、見て見ぬふりをしていた小さな違和感が、暑さや休暇をきっかけに表面化する。

だからこそ、夏のリスク対策は「季節限定の注意喚起」にとどまらない。
職場が人を大切にできているか、無理を当然にしていないか、声を上げやすい環境になっているかを見直す機会でもある。

夏を安全に、気持ちよく乗り切るために必要なのは、大げさな対策ではない。
一人ひとりが少し早めに気づき、少し丁寧に伝え、少し余裕を持って支え合うこと。
その小さな積み重ねが、夏ならではの職場リスクを防ぎ、働きやすい職場をつくっていく。