転職先へ顧客データ持ち出し 代表者の指示か

2025年11月、警視庁は、法人向け引っ越し支援サービスを行う「リベロ」の顧客データが不正に持ち出された事件で、同業他である「ビズリンク」の代表と社員2名、ビズリンクに転職したリベロの元社員1名の計4名を、不正競争防止法違反(営業秘密領得)などの容疑で逮捕した。元社員らは退職前に、顧客データをスマートフォンで撮影し、画像をビズリンクへ送信していたという。元社員へビズリンク代表からの指示があったとみられ、顧客データは営業目的で利用された疑いがある。リベロは退職者のパソコンを確認した際に流出に気づき、警察へ相談していた。

【このニュースに一言】

本件は、退職前の元社員が顧客データをスマートフォンで撮影し、転職先へ提供した疑いで逮捕された事案です。顧客データは企業の競争力を支える営業秘密であり、会社の重要な資産です。「退職するから関係ない」「転職先の役に立ちたい」などと安易に考えてはいけません。また、転職先から情報の持ち出しを露骨な指示でなくても、雰囲気で求められるケースもあります。しかし、他社の情報を不正に入手しようとする企業に本当に転職して良いのか、立ち止まって考えるべきです。不正を求める会社は、結局のところ、社員を大切にしません。
営業秘密となる情報を持ち出す行為、持ち出すよう指示する行為、不正に取得した営業秘密を利用する行為は、いずれも違法行為であり、刑事責任を問われる可能性があります。
もし、転職先から情報の持ち出しを指示されることがあったら、必ず相談窓口や信頼できる上司に相談してください。