この記事の監修：古林弘行 弁護士（古林法律事務所）

「環境保全」という言葉を耳にする機会は多いですが、その具体的な意味や重要性を深く理解している人は意外と少ないかもしれません。環境保全とは、地球環境を守り、未来の世代に健全な自然を引き継ぐための取り組み全般を指します。これには、「SDGs（持続可能な開発目標）」の達成に向けた行動や、脱炭素社会の実現、再生可能エネルギーの活用、産廃処理の適正化などが含まれます。

特に近年は、プラスチック汚染や地球温暖化の深刻化が問題視されており、企業や個人レベルでも積極的な環境保全の取り組みが求められています。例えば、エシカル消費を意識した買い物や、プラスチックフリーの生活に挑戦することも、環境保全の一環と言えるでしょう。また、政府や企業は、カーボンニュートラルやグリーントランスフォーメーション（GX）といった大規模な施策を進めることで、持続可能な社会の実現を目指しています。

さらに、森づくりの推進は二酸化炭素の吸収促進にもつながるため、サステナビリティの観点からも重要な取り組みです。これらの活動は、私たちの生活と地球の未来を守るうえで不可欠です。

環境保全の具体的な取り組み

脱炭素社会の実現

地球温暖化の原因となる二酸化炭素（CO₂）などの温室効果ガスを削減することが、環境保全の最優先課題となっています。2023年の国際エネルギー機関（IEA）による報告では、世界のCO₂排出量は依然として増加傾向にあるものの、再生可能エネルギーの拡大によりその増加幅は鈍化しているとされています。日本でも、2030年までに温室効果ガスを2013年比で46％削減するという政府の目標が掲げられています。

適正な産廃処理

産業廃棄物の不適切な処理は、土壌汚染や水質汚染を引き起こす要因となります。環境省のデータによると、日本国内の産廃処理でのリサイクル率は約50％ですが、さらなる向上が求められています。企業の責任ある廃棄物処理に加え、一人ひとりの分別意識が不可欠です。

森づくりと生態系の保護

気候変動などにより森林は減少しており、地球温暖化や生態系の崩壊を招く要因となっています。日本では「森林環境税」の導入により、自治体が植林や森林整備を進めています。個人でも、「グリーン購入法」に基づいた製品の選択や、森林保全団体への寄付を通じて森づくりを支援することができます。

プラスチック汚染対策

プラスチック汚染は、海洋生態系に深刻な影響を及ぼしています。国連環境計画（UNEP）によると、毎年約1100万トンのプラスチックが海に流出しており、2050年には海洋中のプラスチックの重量が魚の重量を上回る可能性があると警告されています。企業によるプラスチック削減の取り組みや、消費者個人のプラスチックフリー生活への取り組みが求められています。

【事例】やってみよう、環境保全

レジ袋を断る選択

スーパーでの買い物の際、マイバッグを持参しレジ袋を断ることで、プラスチックの消費を減らすことができます。この小さな行動も、環境保全に貢献する大切な取り組みです。

再生可能エネルギーの導入

ある企業が、工場の電力をすべて太陽光発電に切り替えたことで、年間のCO₂排出量を大幅に削減しました。企業のグリーントランスフォーメーション（GX）は、環境保全において非常に重要な役割を果たします。

森づくりのボランティア活動

地域の森づくり活動に参加し、植林や森林の保護を手伝うことも環境保全の一環です。自治体や環境団体が実施するプログラムに参加することで、個人でも貢献できます。
環境保全では、一人ひとりの行動の積み重ねが大きな変化につながります。脱炭素やサステナビリティに向けた取り組みを日常に取り入れ、持続可能な未来を共に築いていきましょう。