【事例あり】談合ってなに?
この記事の監修:古林弘行 弁護士(古林法律事務所)
「談合」という言葉を聞いたことがあっても、悪いイメージを持っていても、何をどのように取り決めると談合となるのか、知らない人は意外と多いのではないでしょうか。
談合とは、公共の入札や競売において、競争者同士が事前に相談し、特定の企業が受注できるように、それぞれの入札金額や条件を調整する、また入札に参加しないなどを取り決める行為を指します。このような談合行為は談合罪となるだけではなく、公正な競争を妨げるため不当な取引制限として独占禁止法により禁止されています。
どこからが「談合」になるの?
談合は、入札者全員で相談して行う場合はもちろん、一部の入札者が相談して行った場合でも談合罪が成立します。談合罪では、実行しなくても談合するだけで処罰されます。また、入札に直接参加していなくても、談合を仲介した人は談合罪の対象となります。
官製談合とは?
民間企業同士の談合だけでなく、「官製談合」と呼ばれるものもあります。これは、発注機関である官庁や地方自治体の職員が、特定の企業を有利にするために情報を提供したり、条件を設定したりして、談合を助長・促進する行為を指します。
発注機関の職員自らが競争を阻害する官製談合は特に悪質とされ、入札談合等関与行為防止法により厳しく処罰されます。
なぜ談合は悪いのか
談合は、競争を阻害する行為です。結果として落札金額が本来より高くなり、公共サービスの提供や公共施設の工事にかかる費用が増えてしまいます。これは、税金の支出を不当に増やし、国民の利益を損なうものです。また、公正な競争を妨げ、健全な経済成長を阻害する要因となるため、厳しく罰せられます。
【事例】それって談合かも!?
以下の事例のように、自覚なく談合に関わってしまうこともあります。このような状況に置かれてしまった場合は注意しましょう。
入札前の情報交換
景気についての話をしているうち、原材料の高騰など入札金額に関わる話に。いつのまにか入札金額の具体的な話になってしまった。
業界団体の会合
業界団体の会合で、 「順番で受注できないものか」という発言があった。その場で支持する雰囲気が広がり、結果として談合に関与してしまった。
同業他社との飲み会
複数の同業者が集まる飲み会に参加。入札と関係のない業界の話から入札の話に変わり、特定の企業を立てる流れになってしまった。
談合は、公務の公正な執行を妨げる行為のため、法律で厳しく規制されています。意図せず談合に関与してしまったことに気づいたら、会社の内部通報窓口を利用するなど、適切な行動をとりましょう。