通勤途中の寄り道でけがをしても、労災と認められる?

通勤途中に寄り道などをしてけがをした場合は、労災が認められないことがあります。
労災保険法上の「通勤」とは、住居と就業場所の往復、あるいは、就業場所から別の就業場所への移動等の移動行為を指します。この間にけがをした場合は、「通勤災害」として補償を受けることができます。しかし、「仕事帰りに映画館へ行く」などの寄り道をすると、会社から映画館へ行くまでの移動と、映画館から帰宅するまでの移動は「通勤」にはなりません。つまり、その間にけがをしても、労災とは認められないのです。
このような通勤途中の寄り道は、通勤時の移動の経路を「逸脱・中断」する行為に当たり、通勤災害の認定に当てはまらないことがあるので、注意が必要です。ただし、厚生労働省令で定める「やむを得ない事由により最小限度の範囲」(「日用品を買うためにスーパーに寄る」「病院へ行く」「業務上必要な勉強のために学校に通う」など)で移動した後、通勤経路に戻った場合は、通勤災害に当たります。
通勤災害の認定には、逸脱・中断の有無のほか、「通勤」といえるための条件が必要であり、それぞれのケースに応じて総合的に判断されます。認定の可否が不明な場合は、会社の相談窓口や労働基準監督署に相談しましょう。