上司のハラスメントでうつ病 トランスジェンダー女性

2021年9月、神奈川県の会社で働いていたトランスジェンダー(出生時の性別と、性自認が異なる)の社員が、自身の性的志向や性自認への差別や嫌がらせが原因で、うつ病を発症したとして、労災申請したことが同社員の会見で明らかになった。
同社員は、出生時は男性だが、性同一性障害の診断を受けて現在は女性として生活。会見では、会社の上司から、「君は『彼』でしょ」といった発言を受けたり、「~くん」と執拗に呼び続けられたりしていたと話している。

【このニュースに一言】

報道によれば、同社員は、入社時は男性として振舞っていましたが、後に女性として扱ってほしいと要望していたそうです。LGBTの認知、理解は次第に広がりつつありますが、まだ、「どのように対応すれば良いのかわからない」といういう人も多いのではないでしょうか。しかし、本件のように、本人が嫌がっている言動を繰り返すような対応が許されないハラスメントであることは、社会人としてわかって当然のことです。
会社が行うLGBTへの対応には、トイレや更衣室など、費用や場所など、解決が容易ではない問題もあります。しかし、社内でハラスメントが起きないようにLGBTへの差別や偏見を解消させる教育や意識啓発の活動は可能です。もちろん、活動すればすぐに問題が起きなくなるということはありません。長年、意識のなかにあった差別や偏見は、それが誤りだと理解できても、無意識に表にでてくることが必ずあります。それを避ける方法は、いつも「自分は差別や偏見の過ちを犯すかもしれない」と自分に言い聞かせることです。