元役員がインサイダー取引で課徴金539万円 小僧寿し
2024年5月、小僧寿しの元役員が自社株でインサイダー取引を行ったとして、証券取引等監視委員会は金融商品取引法に基づき、元役員に539万円の課徴金の納付を命じるよう金融庁に勧告を行った。
監視委によると、元役員は同社の業績予想が下方修正されることを知り、公表前に自社株を売買。同社の株価は取引の翌日に下落したため、元役員は312万円の損失を回避した。
【このニュースに一言】
インサイダー取引とは、会社関係者が、職務に際して知った未公表の重要事実を利用して株式等の売買を行うことです。インサイダー取引規制の目的は、証券市場の公平性を保つことにあるため、その行為自体がインサイダー取引として規制されます。そのため、インサイダー取引の結果として儲けが少額であった、あるいは儲けは出なかったとしても、それを理由に摘発や罰則の適用を回避することはできません。本件のように、損失を回避する目的であっても、同様です。
上場企業では、インサイダー取引防止のため、自社株の市場での売買や持株会の口数の変更について、禁止期間を定めるなどのルールが設けられています。上場企業で働く役員や従業員には、重要事項を知る機会があります。そのときにインサイダー取引を行わないよう、まずは自社株の売買ルールや、自社における重要事実の種類を知ることが必要です。本件の元役員のように、誘惑に負けてインサイダー取引を行っても、課徴金を課されるなど手元に利益が残ることは絶対にありません。