航空会社社員、営業秘密を持ち出し、競合他社に転職

2023年8月、長崎県の航空会社の元社員が、営業秘密を不正に持ち出したとして、不正競争防止法違反の疑いで書類送検された。元社員は同社で安全管理に関する部署に勤めており、退職の際、保安検査に関する営業秘密を私物のUSBメモリにコピーして持ち出したという。元社員はその後、別の航空会社に転職。容疑を認めたうえで「転職先で役立つと思い、持ち出した」と話している。同社発表によれば、情報が第三者に渡った事実は確認されておらず、安全についての影響はないとしている。

【このニュースに一言】

不正競争防止法において「営業秘密」とは、「秘密として管理されている生産方法、販売方法その他事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないもの」です。この営業秘密が外部に漏れると、企業は競争力を失い、売上減少といった損害が発生するおそれがあります。そのため、営業秘密は企業で厳重に管理され、法的に保護されるものとなっています。
また今回、持ち出されたのは、外部に漏れることで航空機の乗客の安全に影響を与える情報でした。元社員は、それを良く知る安全管理に携わる立場でありながら、情報を自身の転職のために利用しようとしたのは、あまりに身勝手な行為です。
そして、その行為が自身に招いたことは、「転職先で役立つ」と考えたこととは真逆で、この問題を理由にした降格、制作に関わった安全管理規程の作り直しでした。

営業秘密は企業の大切な資産です。持ち出すことはもちろん、他社の営業秘密を不正に取得・利用することも絶対に許されません。