勤務中、手が滑って商品を壊しちゃった! 弁償しなくちゃいけないの?
働いている店で商品をうっかり落としてしまった、飲食店で食器を割ってしまったなど、働く上で通常起こりうる過失による損害は、基本的に弁償する責任はありません。
会社は、従業員を会社の指揮命令下で労働させることによって、それだけ多くの利益を得ます。したがって、働く上で発生しうる損害の責任も、会社が負うべきと考えられています。利益を得るところから損失も出すべきという考え方で、これを「報償責任の原理」といいます。
ただし、従業員はすべての損害に対して一切責任を負わないわけではありません。以下のような点を考慮し、一定の範囲で賠償責任が認められることがあります。
●従業員の帰責性(故意・過失の有無・程度)
●従業員の地位・業務内容・労働条件
●損害発生に対する会社の寄与度(指示内容の妥当性、保険加入によるリスク分散の有無など)
たとえば、営業車を運転中に信号無視による事故を起こして車を壊すなど、従業員に重大な過失があると認められた場合や、注意されたことに腹を立て物を壊すなど、故意に損害を出した場合には、賠償責任が発生します。
弁償する責任がないとしても、商品は慎重に取り扱うことがたいせつです。その上で、もしも商品を破損させてしまった場合は、速やかに報告・謝罪をして、同じミスを繰り返さないように気をつけましょう。