有明海産のノリ取引で独禁法違反
2024年5月、公正取引委員会は、有明海産のノリ取引において、佐賀県有明海漁業協同組合と熊本県漁業協同組合連合会に対し、独占禁止法違反を認定し、排除措置命令を出した。両漁協は、生産者に対し、全量を漁協や漁連に出荷することを誓約させ、生産者の独自販売を制限していた。公取委は、この行為を独禁法違反(拘束条件付取引)と認定した。なお、両漁協は措置命令の取り消しを求めて提訴する方針である。
【このニュースに一言】
取引先の事業者に対して、事業活動を不当に拘束する条件を付けて取引すること(拘束条件付取引)は,独禁法で禁止されている不公正な取引方法の一種です。このような行為は、事業者の自由な競争を制限し、消費者の選択の自由を奪うことになります。事業者は、競争によって利益を増やす機会を失い、消費者は、安価で良質なノリを購入する機会を失ったかもしれません。
不当な制限とされたノリ取引の方法は、長年の慣行でした。しかし、慣行であっても、不当に事業者や消費者の権利を侵害するものは、取りやめて見直す必要があります。
本件に限らず、不当な慣行が残っている業界や会社はあるかもしれません。もしも、身近に該当する慣行があったら「仕方ない」、「変えられない」と考えるのではなく、声をあげてください。
上司に相談したり、コンプライアンス担当部門に伝えたりすることが大切です。
※本件では、排除措置命令を出された佐賀県有明海漁業協同組合と熊本県漁業協同組合連合会のほかに、福岡有明海漁業協同組合連合会も独禁法違反の立ち入り検査を受ていました。しかし、同漁協は自主的な改善を約束する改善計画を提出し、違反の認定や措置命令を受けませんでした。