社員旅行費を取引先が負担 公取委警告

大手建材卸業会社が、社員旅行の費用などを取引先に支払わせていたとして、公正取引委員会は2019年5月15日、独占禁止法違反(優越的地位の乱用)の疑いで同社に警告を行った。
調べによると、同社は遅くとも約4年前から、取引先171社に社員旅行の費用を一部負担させたり、19社に同社の営業担当者への報奨金に充てる費用を要求したりしていた。取引先が負担した額は、計約7千万円を超えるという。同社は「協賛金などとして提供を求めた。長年の慣習だった」などと話している。
(公正取引委員会HP、日経新聞)

【このニュースに一言】

公取委は「納入業者に利益がないにも関わらず、金銭を提供させた」と断じています。同社からは「強制していなかった」旨のコメントもありましたが、納入業者に「協賛金を支払わなかったら、取引がなくなるかもしれない」という不安があり、断れなかったことは想像に難くありません。優越的な立場にある企業は、「お願い」であっても、相手には「断れない強制」になることをハッキリと認識すべきです。
「長年の慣習」も「相手の同意」も、立場の弱い相手が我慢していた上に成り立っていただけで、それが正当性の理由には、一切ならないことを肝に銘じましょう。