公立病院で医薬品の横流しが17年間も続いていた!

2013年11月20日、岩手県内の公立病院の男性薬剤師が、院内の医薬品を横領・転売し、17年間で約1億7000万円を得ていたことがわかった。町は刑事告訴する方針を固めている。男性薬剤師は医薬品の在庫管理などをほぼ1人で担当していた。町によるチェック体制の甘さが問われ、町長は管理体制の不備を認めているという。町長らは今後減給処分となる見通し。

 

【このニュースに一言】

なぜこの事件が起きたのか、どうして17年間も発覚しなかったのでしょうか。

私の答えは、以下の2つです。

1)バレない環境があった

2)周りの人にとって「医薬品の管理」は他人事だった

事件が起きるには理由があると思います。それは「動機」と「環境」ではないでしょうか。簡単な例で言えば「お金に困っている」と「道端にお財布が落ちている」ということです。しかし、「動機」というものは「魔が差した」程度のことで十分で、重要なのは「環境」の有無だと言えます。この事件では、男性薬剤師が医薬品の在庫管理を「ほぼ一人で担当」しているということが、「他の人からチェックされることがほぼない」という環境を作り出していました。そして、ほんの些細な動機(例えば、在庫が合わなくなったときに、適当に辻褄を合わせがバレなかった)が切っ掛けとなって、不正を始めたのではないでしょうか。

また17年間も発覚しなかったのは、「医薬品が横流しされても困る人がいなかった」からだと思います。医薬品の在庫に問題があっても「自分の担当ではない」、医薬品が横流しされて病院の収支が悪化しても「自分の懐には関係ない」と周りが(顕在、潜在問わず)思っていたからではないでしょうか。これが民間の病院であったら、経営者が「自分の問題」として、すぐにチェックをいれていたはずです。