何度も同じことを聞いてくる部下に辟易!

今年度からアナタは管理職に昇格しました。これまでは頼まれた仕事を精一杯こなすことに力を入れていましたが、今後は部下の様子にも気を配る必要があります。部下の様子がひと目で見渡せる席に荷物を移動したアナタは、管理職になったことを実感。「今後はオレの働き方も一新しないとな!」と心の中で唱えます。

そして、アナタは今までの働き方を振り返り、自身がかなり恵まれていたことを再確認します。理解ある上司の下、自分がやりたいように働いてきました。若気の至りから、時に独善的な動きをしたこともありました。「誰よりも良い営業成績を残せばいい!」とワンマンプレーをし、職場の仲間から嫌われたこともあります。しかし、上司に目を掛けられていたこともあり、表立って苦言を呈されたことはありません。アナタが若くして管理職になれたのは、同僚を出し抜くワンマンプレーであげた営業成績が目立ったからです。チームプレーには正直自信がありません。そのことを自認しているからこそ、自身が上司になった今、嬉しさよりも不安が勝ります。

日中は、会議に参加する機会も多くなり、定時を過ぎてからが自分の仕事ができる時間です。明日の会議資料をそろそろ書き終えるといった頃合い、部下のAが「相談があるのですが……」と話しかけてきました。相談の内容はアナタにとって、取るに足らないものでした。以前なら「それぐらい自分で解決してよ」と突き放したことでしょう。だが上司という立場になった今、アナタはできる限り親切に対応しました。でも内心、「めんどいなぁ……」とは思っています。

翌日、昼休みに弁当を食べていると再びAが近づいてきました。「相談があるのですが……」と昨日と全く同じ内容を話し始めたのです。アナタは「またかよっ!」と一瞬イラッ、だが次の瞬間には「ガマン、ガマン」と自分を落ち着かせ、昨日と全く同じ説明をします。Aは「わかりました!ありがとうございます!」と気持ち良い返事をして、席に戻って行きました。

翌々日、部下の進捗情報を確認していると、またもやAがやって来ます。「昨日の件の報告かな」とアナタは期待します。すると3度目の「相談があるのですが……」とA。どうやらコチラの助言を全く理解できていなかったようです。Aの相談にアナタはもう辟易、「仕事が忙しいから、また今度ね。そもそもさ、自分で調べるってのも仕事のうちだよ」と突き放しました。Aは「はぁ……」と意気消沈し、トボトボと戻って行きました。

仕事の習得スピードには、個人差があります。何度も同じことを聞いてくるAのような部下に気が滅入ることも理解できますが、どんなに忙しくとも部下からの相談があったら、いったん話を聞き、内容にあった対応をするのが上司の努めです。「具体的に、何がわからないのか」と話を引き出してあげたり、他の部下にも協力してもらったりして、対応しましょう。

教 訓

相談をされるのは、アナタが頼られているから。
しっかりと話を聞いて、相手に合わせたコミュニケーションを意識しよう。