広報物に誤字発見、「見て見ぬふり」をして大変なことに……

アナタは大手メーカーの広報部に在籍しています。入社時から広報一筋、夢中で仕事をこなしてきました。そんな働きっぷりを評価されてか、入社5年目にして、ある広報物の責任者に抜擢されました。製品を愛用しているユーザーの声をまとめた小冊子です。

外部ライターと協力し、今までに届いたユーザーの感想を整理していきます。ページ数が少ない小冊子とはいえ、載せる情報は結構あります。3ヶ月をかけ、ユーザー300人の声を載せた小冊子の制作を進行。予算もそこそこあったのでデザインをプロに依頼、今までの広報物とは一味違ったモノになりそうです。デザインレイアウトも済み、完成した小冊子のデータを広報部のメンバーに見せたところ反応も上々です。そして、アナタは小冊子の内容を全て確認し、印刷会社に入稿しました。

数週間後、刷り上がった小冊子1万部が広報部に届きました。「待ってました!」と箱を開け、こだわった光沢紙の表紙を開くアナタ。ニヤニヤしつつページをめくっていると、あるタイトルが目に留まります。

「ユーザーがオフスメするポイント!」
タイトルだけあって、大きな文字で書いてあります。よって誤字などあり得ないはず……。アナタは目を凝らしてもう一度確認します。「ユーザーがオフスメするポイント!」、何度も読み返しても“オススメ”ではなく“オフスメ”、アナタの背筋に嫌な汗が流れます。完全に誤字です。上司に報告しなきゃ、刷り直すための印刷費、誤字がある1万部の小冊子の処分方法など、これからやるべきことが頭を駆け巡ります。数分間脳をフル回転させた後、アナタは「内容に問題があるわけではない、この程度だったら読み手も許してくれるはず」と開き直ることにしました。小冊子は誤字を残したまま、アナタの会社の製品を扱う全国の販売店に配布されていきました。

数週間後、小冊子を見た人から「ここ間違っていますよ」といった指摘が大量に届きました。当然、上司の耳にも入ります。「確認して気づかなかったのか?」と、苦笑いで問われます。アナタが今まで積み上げてきた信用にも傷が付きました。

たとえ無料で配る冊子でもミスがあれば、会社の大きなイメージダウンに繋がりかねません。ミスの内容や程度によっては、大きな信用問題へと発展する可能性もあります。今回、見てみぬふりをしたことにより、アナタの信用もなくなってしまいました。隠すのは間違えるよりも悪いことです。差し替え書面を入れるなど、気付いたときに迅速に対応しましょう。ミスをしてしまうのは仕方ありませんが、何よりも、取り返しがつかなくなる前の確認が大切です。一人だけでは見逃すこともあるため、複数人で確認しましょう。

教 訓

ミスは大小にかかわらず、しっかり報告を!