過剰な接待には要注意!

大学卒業後、ドリンクメーカーに就職したアナタ。本来の志望は商品開発でしたが、コミュニケーション能力の高さを評価され、入社以降ずっと営業部で働いています。常に新しい商品が生み出されるドリンク業界、その内情は厳しいものです。1000の商品が発売されても定番として残るのは1つだけ。当然、それらの開発費も膨大になることから、新商品の発売が決定すれば、営業部は「絶対に売らなければ!」といつも以上に忙しくなります。

今冬、メーカーの定番商品である缶コーヒーがリニューアルされることになりました。独特の風味から好き嫌いがわかれる味と言われますが、市場シェアは2位の大人気商品です。ただ、あと一歩のところでライバルメーカーに勝てないことから、この度大きな勝負に出ました。一年以上かけて豆から見直し、コーヒー通から初心者まで愛される普遍的な味を追求。試飲したアナタは「良い意味でも悪い意味でもクセがなくなったなぁ」と思いましたが、そんな感想を漏らしている暇はありません。リニューアル後、一本でも多く出荷できるようにしなければなりません。

某ドラッグストアを担当しているアナタは、缶コーヒーの担当者に仕入れの本数を増やせないかと交渉しました。ドリンクの棚に1列、2列、3列と多く置かれるほど、売上は増えます。

長年付き合いのある担当者が相手だったため、アナタは難なく交渉が進んでいくと楽観視していました。ただ反応は鈍いものでした。理由は、シェア1位の缶コーヒーの存在。担当者に何度交渉しても「棚の大きさは決まってるし、一番売れてる商品より多くは置けないよ」と突き返されます。こうしている間にもどんどん迫ってくる発売日、アナタもどんどんと追い詰められます。

大ピンチとなった時こそ名案が浮かぶもの。アナタは担当者が女性とお酒に目がないことを思い出しました。「この交渉だけは絶対に成立させる!」アナタはそんな一心で、担当者を高級クラブで接待することに決めました!甘美な時を楽しむなか、アナタは先方の心変わりを期待します。

接待は取引先との情報交換や良好な関係を作るために、営業行為の一環として必要な場合もあるでしょう。しかし、大きな見返りを期待して、常識の範囲を超えるような過剰な接待をしてはいけません。過剰な接待はコンプライアンス違反、そしてステークホルダーの期待を裏切る行為です。仮に、過剰な接待で期待通りの結果になったとしても、その事実が明らかになれば、取引先内部からも問題視され、結果的にアナタと会社は、取引先からの信頼を失うことになります。フェアな取引を心がけ、接待は、健全な商習慣や常識を踏まえて、問題のない範囲内で行いましょう。

教 訓

接待や贈答品の魅力ではなく、商品・サービスの魅力で勝負してください。

 

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