『夏とおじいさん』 小川未明 著

あらすじ
 ある街に住むおじいさんは、身の回りの世話をしてくれる雇い人たちを手足のようにこきつかい、機嫌が悪いときは暴言を吐きました。しばらくして、リューマチが悪化したおじいさんは体の自由がきかなくなり、さらにかんしゃくを起こすようになりました。あるとき、雇い人たちがおじいさんの態度に耐えかね、懲らしめようと、いっせいに仕事を休みました。頼れる人がおらず困ってしまったおじいさんは、自分の態度を反省し、謙虚になり、人の助けに感謝しなければならないことを悟りました。

 この物語のおじいさんに限らず、すべての人は、日頃から多くの人に助けられ、支え合いながら生活をしているはずです。たとえ仕事であっても、「やってもらって当たり前」と考えるのではなく、常に感謝の気持ちを持つことがたいせつです。感謝の気持ちを忘れて相手への敬意を欠くと、横柄な態度をとる、無理な要求をするといったハラスメントにつながる言動の原因になります。

 物語では、おじいさんが自分の態度を反省し、あらためたことで関係が改善され、雇い人たちはおじいさんを尊敬するようになっていきます。職場でもお互いに感謝し、尊重し合うことで、よりよい関係が築けるはずです。同僚に、日常のさまざまな場面で、言葉や態度で「ありがとう」と感謝を伝えることを意識しましょう。

参考:夏とおじいさん(青空文庫)