2024/11/19
/ 最終更新日 : 2024/11/19
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『魔女のパン』 オー・ヘンリー 著
あらすじ
パン屋を営むマーサはいつも質素な古いパンだけを買う男性客のことが気になっていました。貧しいから高いパンが買えないのだと考えたマーサは、ある日、男性の買った古いパンにこっそりバターを塗って渡します。その後、男性がとても怒った様子でマーサのもとにやってきました。実は男性は製図家で、下書きを消すために古いパンを使っていました。しかし、バターで大事な図面が台無しになってしまった、というのでした。
マーサが男性を喜ばせようとして取った行動が裏目に出てしまったことは、少し気の毒にも感じます。ただ、男性からしてみれば、下書きを消す目的で買っている商品が、知らされずに目的に合わないものに変わっていたのですから、怒るのも仕方ありません。
マーサには「貧しいから古いパンしか買えないのだろう」「バターをサービスすれば喜ぶだろう」という思い込みがあったと考えられます。また、物語ではマーサの男性への恋心も読み取れることから、「よく思われたい」という願望が、行動に繋がった可能性もあるでしょう。
都合の良い結果ばかりを想像したり、自身の気持ちばかりを優先したりすると、望ましくない結果をもたらすおそれがあります。思い込みをなくすためには、さまざまな視点や状況を想像することが必要不可欠です。
参考:魔女のパン(青空文庫)