オフィスの写真をツイートしたアナタは炎上中

長年勤めていた会社を辞め、独立することになったアナタ。残っていた有給休暇を消化し、本日が最後の出社となりました。新卒で入社し早10年……、仕事の進め方、社会人としてのマナー、組織での立ち振る舞いなど。このオフィスはアナタにとって人生訓を学んだ学び舎でもあります。「今後、訪れることはそうない」と考えれば切なくもなります。

アナタが担当していた仕事は後輩に引継ぎ完了。よって特段することはありません。そこでアナタは社内の様子をスマホのカメラで撮影することにしました。出社最終日は思い出づくりに充てることを勝手に決定。
そういえば先月、スマホを新しい機種に変えたばかり。新機種から搭載されたというポートレートモードを試す絶好の機会です。

仕事をする後輩をカシャ、よくこもった資料室をカシャ、仮眠をとった打ち合わせスペースをカシャ。10年間の日々を回想しながら写真に収めていくと、大変だったことも全てが良き思い出になるから不思議です。

その夜、アナタはツイッターに「退職日、社内の写真を撮りまくる。特によく仮眠してた打ち合わせスペースがエモい!」といった文面を添え、撮った写真を投稿しました。翌日、「どんな反応がきてるかな」とツイッターを立ち上げたアナタは面食らいます。尋常ではない数の反響が寄せられていました。血の気が引いていきます、そうです……、昨日の投稿が炎上していたのです。

アナタがツイートした写真の中に「会社名の入った社外秘の資料」が写り込んでいたようです。毎分、アナタのアカウントに「これってマズくない?」「この会社の情報管理甘すぎwww」「コイツ、社会人として終わっている」といった辛辣なリプライが寄せられます。写真イジりが収束すると、続いては文面に指摘が入り始めます。「サボり社員を見逃している会社ってどうなの?」「職場の打ち合わせスペースで仮眠ってサボり?コイツ、アホすぎワロタ」「最悪最終出社www」と炎上が止まりません。むしろ、広がる一方です。

アナタは「こんなことになるなんて」と頭を抱えました。数時間うなった後、アナタは「情報漏洩したのってもう辞めた会社じゃん……」と開き直ることにしました。大体の炎上は2、3日したら収まります。アナタは炎上を他人事として傍観することに決めました。時が全てを解決してくれることを願ったのです。
1週間後、ツイッターを開くとアナタのことは過去の話題になっていました。しかし、アナタのツイートで信用を傷つけられた会社は黙っていません。元同僚によると上層部が激怒しており、アナタを訴えるといった話にもなっているそうです。
大切な企業情報を漏らすコンプライアンス違反をしたわけです。裁判沙汰になっても文句は言えません。

写真の情報量を侮り、無邪気にSNSに投稿すれば、思いもよらぬ大変な事態に発展する可能性があります。「立つ鳥跡を濁さず」ではなく「立つ鳥跡を濁す」行為には要注意を!

教 訓

社内での写真撮影は、情報漏えいのリスクが高い。思い出は、心に焼き付けるだけにしておこう。