『おおきなかぶ』

『おおきなかぶ』はロシアの民話で、そのタイトルの通り、巨大で抜くのが困難なかぶを、皆で力を合わせて引き抜こうと奮闘する物語。おじいさんが、かぶを一人で抜けなかったことから、おばあさんに助けを求め、さらにおばあさんが孫娘に助けを求め、さらにその孫娘が…と続き、最後には、皆の協力でかぶが抜ける、というあらすじが有名です。

 この物語の教訓としては、「一人では達成が困難な目標も、皆で協力すれば達成できる」ということでしょう。『日本人の意識調査』によると、職場において「相談、助け合いをしたい」と望む人は1973年は59%でしたが、2018年には37%に減少しています。このように、助けを求めることのハードルが高くなっている昨今ですが、それでは困難を乗り越えられません。このお話においても、おじいさんが周りに協力を求めずにかぶを抜くことを諦めてしまっていたら…「かぶを抜く」というプロジェクトは失敗していました。人を頼ることも、良い仕事をするためには必要です。

 加えて、この物語には重要なポイントがあります。それは、最後に助けに加わったのがネズミだということです。おじいさんとおばあさんに孫娘、そして犬に猫、と加わっても、かぶは抜けませんでした。しかし、他の誰よりも身体の小さいネズミが最後に協力したことが決め手となり、ついにかぶは抜けるのです。ここには、「どんなに小さな力にも意味がある」というメッセージが感じられます。逆に、もしも一人でも手を抜く人がいれば、小さな力は意味を持たなくなり、参加した全員の努力が無駄になっていたでしょう。

 全員が協力し、一人ひとりが力を尽くすこと。『おおきなかぶ』からは、その大切さをあらためて学ぶことができます。

参考(PDFが開きます):第10回 『日本人の意識調査』(NHK)