『浦島太郎』

 『浦島太郎』のあらすじは諸説ありますが、

「浦島太郎は亀を助けたお礼に竜宮城に招待され、楽しい日々を過ごす。ある日、浦島太郎が故郷に帰ると、数百年もの月日が流れていた。そして乙姫からもらった玉手箱を開けた浦島太郎は、おじいさんになってしまう」

といったものが有名です。

  そのような本作では、「浦島太郎がかわいそう」と感じたことはないでしょうか。竜宮城では現実世界よりもずっと遅く時が流れていたために、浦島太郎が故郷に帰ると、様子は変わり果てていました。数百が経過し、知り合いも一人もおらず、さみしくなった浦島太郎が乙姫にもらった玉手箱を開けるとおじいさんになってしまいます。浦島太郎は亀を助けた善人なのに…この仕打ちは酷に感じます。現代社会であれば大クレームでしょう。

 竜宮城では浦島太郎の住む世界と比べて時の流れが遅いという点は、浦島太郎の人生に大きく影響します。この「竜宮城ツアー」というサービスにおいて、竜宮城側は、招待前にそれらのの重要事項を説明する義務があったのではないでしょうか。「竜宮城では現実よりも遅く時が流れます」「玉手箱は開けないで保管してください。開けると大幅に年を取ります」などの注意書きを記載した契約書を取り交わすのが、お互いのためにもよかったのではないでしょうか。もし、そこで浦島太郎が「このサービスはおかしい!」と感じて契約を断れば、成約がとれるまで竜宮城に帰れない悲しき亀の物語になっていたかも…。