『兎と亀』

 『兎と亀』は、亀の足の遅さをバカにしていた兎が、かけっこの最中に居眠りをしたことで、休まず進み続けた亀に負けるという物語ですが、もしも、兎と亀が職場の同僚で、月間の営業成績を争っていたら…どうなるでしょうか。

 コツコツと一件ずつ受注を取る、実直な亀。一方、営業センスが抜群で、すごいスピードで受注件数を増やしていく兎。
 月半ば、兎は受注件数で亀に大差をつけ、勝ったも同然、と仕事をサボります。亀はサボる兎を横目に、コツコツ仕事に励み続け、ついに迎えた月末、亀は兎に逆転勝利! 兎は、まさか負けるなんて、と嘆きました。
しかし、兎よりも嘆いたのは、兎がサボっていたことを知った会社でした。そして、サボっていた兎はもちろん、兎のサボり知りながら自分が勝つために黙っていた亀も、上司にこってり怒られてしまうのでした…。

 競い合い、お互いを高め合うのはいいことですが、相手に勝ちたいからと足を引っ張る、不正を放置するなどはもちろんあってはなりません。

 『兎と亀』には作者不詳の様々な続編があります。ある続編では、兎が亀にリベンジを挑み、居眠りしなかった兎が勝ちます。しかし亀は負けながらも、「1回目よりタイムが縮んだ」と喜ぶのです。他人にとらわれず、自分の目標をまっすぐ追い求めることも、仕事において大事なポイントかもしれませんね。