『王様の耳はロバの耳』

あらすじ(※諸説有り)
 ロバの耳を持つことを秘密にしていた王様。散髪を担当する床屋だけが秘密を知っていました。床屋はきつく口止めされていましたが、どうしても誰かに言いたくて仕方ありません。そしてある日、床屋はついに我慢できず、人里離れた場所にある井戸の奥に向かって「王様の耳はロバの耳」と大きな声で叫びます。すると、なんとその井戸を通じて国じゅうの井戸から床屋の叫びが響き渡り、王様の秘密が皆に知られてしまいました。王様ははじめ怒りましたが、その度量の大きさで「隠す必要がなくなり、すっきりした」と床屋を責めませんでした。

 この物語はハッピーエンドで幕を閉じますが、コンプライアンスの視点で考えると、床屋が王様の秘密を漏らしたのは情報漏えいにあたるのでは? という見方もできます。もし舞台が現代だったら、どうなるでしょうか。

 床屋は散髪という業務で、王様の秘密を知りました。王様は床屋に口止めをし、床屋は口外しないと約束していました。それなのに言ってしまったというのは、秘密保持契約違反にあたるおそれがあります。また、井戸に叫んだら国じゅうに聞こえてしまったのは、ツイッターで呟いたら拡散されてしまったと置き換えられそうです。
 情報漏えいは、信用失墜、懲戒処分、損害賠償…など悲惨な結果を招きます。このお話のように許されるとは限りませんので、どうか気をつけてください。